投稿日:2011/05/09(月) 20:03:53.68 ID:0XvZkoit [3/5]
http://www.wikileaks.ch/cable/2006/02/06FUKUOKA9.html
リファレンスID:06FUKUOKA9
http://www.wikileaks.ch/cable/2006/02/06FUKUOKA9.html
リファレンスID:06FUKUOKA9
作成日時:2006-02-09 05:42
リリース日時:2011-05-07 05:00
秘密区分:非機密指定
発信元:福岡領事館
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西日本における原子力エネルギーにまつわる問題:九州電力のプルサーマル計画
取扱注意だが非機密指定――インターネットに配布しないこと
要約
1.(取扱注意だが非機密指定)古川康佐賀県知事が2月7日に発した、プルサーマル技術は安全だと思うという宣言を受けて、九州電力(九電)は、佐賀県にある玄海原発3号機でプルサーマル発電を始める最終的な認可を地元当局者からまもなく得る。九電は、再利用されたプルトニウム・ウラン(MOX)燃料が軽水炉で燃やされるというプルサーマル計画を最初に実施した電力会社になるだろう。九電は当該地域の住民に繰り返し説明会を開きプルサーマル技術の必要性と安全性を強調してきた。それでも、地元の不安を緩和することは思ったよりも難しいものであると分かった。九電の経験は、多くの日本人が原子力発電に対し引き続き抱いている不安の重大さを明らかにし、現在の日本における中央政府と地方政府の関係の発展的特質を例証することとなった。要約終わり。
最終的な認可は3月にも降りそうだ
2.(非機密指定)2006年2月7日、古川康佐賀県知事は記者会見で、中央政府の安全基準と佐賀県自身が行った調査とを慎重に検討した結果、九電の玄海原発3号機で行うと提案されているプルサーマル計画は安全であると結論付けたと発表した。この計画はまだ玄海町議会と佐賀県議会の承認を得る必要があるが、知事の発表は、3月にも最終的な認可を得るという九電の希望に対する決定的な後押しとなる。プルサーマル発電の開始という目標を2010年3月の年度末に間に合わせようとしたら、九電は早速調達と施設の準備を開始する必要がある。
核廃棄物の処分やエネルギー安全保障に関する懸念が刺激となっている
3.(非機密指定)プルトニウム・サーマル(「プルサーマル」)技術は目新しいものではない。ヨーロッパで長年使われているもので、使用済み燃料棒からプルトニウム廃棄物を取り出し、それをウランと混ぜて新しい燃料を形成するという工程からなり、その燃料は従来の軽水炉で燃やすことができる。核廃棄物の処分とエネルギー安全保障に関し増大する戦略的懸念とに対する考慮により、最近の日本がプルサーマル技術に関心を寄せることに拍車がかかった。
福井県にある日本の試作型高速増殖炉「もんじゅ」の運転が1995年の事故以来止まっているため、経済産業省は代わりにプルサーマル技術を「核燃料サイクル」戦略の一部として推進してきている。経産省は廃棄されるはずの燃料を効率的に再利用することを狙っており、それによって、日本が抱える核廃棄物の山が高くなる速度を落とそうとしている。
23 名前:お漏らしさん[sage]
投稿日:2011/05/09(月) 20:04:35.45 ID:0XvZkoit [4/5]
4.(取扱注意だが非機密指定)ウランと比較して、プルサーマルのMOX燃料は、処理費用が原因でかなり高額である。しかし、核廃棄物の貯蔵や潜在的な環境破壊が減ることによって生まれる長期的利益を考慮に入れると、プルサーマル技術は費用対効果が良いものであると九電は熱弁する。国のエネルギー安全保障も考慮事項だ。世界的なウラン需要が現在生産を超過しており、世界のウラン埋蔵が枯渇するかもしれないという真実味を帯びた可能性があるため、日本政府と地域の電力会社は輸入ウラン燃料への依存度を減らすことに力を入れている。このことは特に九電に当てはまる。九電は日本のどの電力会社よりも原子力発電の比率が高いのだ(30%が平均のところ45%)。
5. (非機密指定)九電が現実の実行に迫っているが、他に目を向けてみれば、東京電力と関西電力もプルサーマル計画に対する経産省の事前認可を得ており、その他の電力会社からの申請は保留されているという状況である。一方、日本政府のプルサーマル技術を拡大するという基本計画案を受けて、電力卸を含む11の電力会社は2006年1月、2012年度中に日本全国にある16〜18の原発で再処理プルトニウムを年間6.5トン燃やす長期計画を発表した。
確信にもかかわらず、費用と安全性への懸念は続く
6. (非機密指定)経産省は、九電が日本政府の基準を満たしていると保証し、2005年9月にプルサーマルの提案を認可した。計画を進めるため、九電は玄海原発に近接する自治体と佐賀県から最終認可を得なければならない。2004年に初めて計画を発表して以来、九電は200回を超える地元民への説明会を開いてきた。九州で6基の原子炉(そのうち4基が玄海原発にある)を運転する九電は、原子力発電の30年間に及ぶすばらしい安全記録を強調してきた。
7. (非機密指定)佐賀県に強く要望され、経産省は2005年10月に自身の公開討論会を主催し、原子力の専門家を招いてプルサーマル技術の「必要性」と「安全性」を議論した。しかし、この会議はプルサーマル工程に関する懸念を静めることには成功しなかった。プルサーマルに賛成の専門家はプルトニウムのリサイクルによって濃縮ウランの使用を15〜20%減少させることになると主張した。これに対し、反対派はは使用済み燃料からはたったの1%しかプルトニウムが取り出せず、輸入MOX燃料の価格は現在、ウラン価格の約4倍であると主張した。懐疑論者は2004年3月の議論に言及する。そこでは資源エネルギー庁が国の核燃料サイクルの目標が頓挫することを恐れて、核燃料再処理の費用が放射性廃棄物貯蔵施設に貯蔵するより2〜4倍高いことを示す報告書を隠そうとした。
8. (非機密指定)10月の討論会ではプルサーマル技術の安全性への懸念が十分に検討されず、専門家はこの問題で二分された。反対派は、MOX燃料は本来的に不安定であり、再処理された燃料棒は破損しやすく、事故の可能性が高まることを論証した。さらに彼らは、プルトニウムは核兵器に使用することが可能であるから、原子力発電での使用拡大はいずれ日本政府が国産核兵器保持能力を開発する試みを助長するとして、政治的な主張を試みた。賛成派は、そういった恐れは誇張しすぎであるとして取り合わなかった。彼らは反撃に転じて、「プルトニウムの使用は核兵器につながる」という観念は単純化のし過ぎであり、プルサーマルによる核燃料サイクルでは、実はプルトニウムを核兵器レベルより低くしていると主張した。
9.(取扱注意だが非機密指定)引き続く県民の疑念を認識し、古川康佐賀県知事は県がプルサーマルの安全性問題に関する公開討論会を主催するよう指示した。12月の公開討論会を受けて、知事は計画の安全性と必要性は徹底的に議論されたと述べ、2月7日の発表の準備をした。佐賀県当局者は、安全性の観点からおおむね九電の計画に満足しているようであり、自分たちは九電と相互信頼という良好で長期的視点に立った関係を保持していると新聞社に話した。それに比べ、この問題に関する中央政府の取扱いに対してははるかに寛容ではない。例えば、古川知事は、日本政府が主張する政策は国の利益であるから、東京は地域の行政主体に協力を要請する以上のことはほとんどしてこなかったと大ぴらに不満を漏らし、県民の懸念を静める仕事のほとんどは電力会社に対して丸投げされていると述べた。
24 名前:お漏らしさん[sage]
投稿日:2011/05/09(月) 20:05:16.44 ID:0XvZkoit [5/5]
科学が説得しなくても、お金がやる。
10.(取扱注意だが非機密指定)九電の新聞への情報提供者によると、玄海町当局者はプルサーマル計画の認可をしたいと考えているようだ。しかし、現今の問題は、玄海町よりずっと大きい唐津市からの反対である。2005年1月の自治体合併により、唐津市の市境は玄海原発にずっと近づき、2万7千の新しい唐津市民(玄海町の人口の4倍)の相当数は原発の10q圏に現在暮らしている。
九電は、玄海原発での新しい原発計画について行政主体の認可を求める「安全協定」を玄海町および佐賀県と1972年以来結んでいる。だが、そのような協定は唐津市との間には無く、協定に参加させるように唐津市が迫っているが、九電および佐賀県当局者の双方ともこの余計に面倒な事態に抵抗している。
11.(取扱注意だが非機密指定)12月、唐津市議会は会計年度末(2006年3月)までに九電のプルサーマル計画に対する公式の立場を示す「プルサーマル特別委員会」を発足させた。九電は、唐津市当局者にとっての最大の考慮事項は安全性では無くお金ではないかと疑っている。現在の体制で、玄海町は国の助成金187億円(1ドル110円換算で1億7千万ドル)をこの30年間受け取ってきた。
巨額の固定資産税および法人税に加え、九電自身が少なくとも30億円(2700万ドル)の一時金を、地元反対派に対処するための「協力料」として玄海町に支払ったと伝えられている。地元の論者は、唐津市はこのアブク銭を手に入れる立場を欲しがっているのではないかと推測している。
所見
12.(取扱注意だが非機密指定)日本政府と日本の発電業界は、九電のプルサーマル計画の成功裡に立ち上げられれば、日本政府が行う「核燃料サイクル」唱導の弾みになると期待しており、実際、九電はまもなく計画を進めるための地元の認可を勝ち取る見込みである。それでも、新聞との議論の中で九電当局者は、なぜプルサーマル技術は安全かに関する九電と経産省の詳細な説明を受けることを拒否する反対派に対するいらだちを隠していない。九電の幹部は、プルトニウムは現行の発電方法で既に生まれている当然の副産物であると述べ、反対の原因は一部の日本人にある原子力エネルギーに対する「不合理」な恐れにあり、その恐れは科学に基づかない安心のさせ方で変えることができるかもしれないとする。だが、プルサーマル技術に関する意見は原子力専門家の間でも別れている。九電当局者は、近年他の電力会社の原発で起きた安全に関わる一連の失敗によって、住民の本当の信頼を得る労力が業界にかかっていることを認めた。
13.(取扱注意だが非機密指定)プルサーマル計画は、今日の日本における中央政府と地方との関係の発展的特質を例証している。玄海原発の幹部は新聞に、この計画が20年か30年前に提案されていたら、日本政府の認可と安全に関する九電の保証が前進するための十分な基礎となっただろうと話した。しかし最近、地元の感情が無視できず、唐津市のような場所の当局者はそのことを知っている。「チホウブンケン」(地方政府への権限委譲)を進めるため地方自治体の合併を推し進める日本政府の政策の皮肉なねじれにより、唐津市は今や、より大きい合併後の地位を生かし、日本政府と九電からより多くの譲歩を引き出そうとしている。日本は高度に中央集権的であり続けるかもしれないが、もはや東京の当局や有力企業は、自分たちがすべてを牛耳ることはできなくなったと気付きつつある。所見終わり。
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