広島市と長崎市が20年夏季五輪招致を検討していることが10日、明らかになった。第2次世界大戦で原爆を投下された両市が共催という形で立候補すれば、五輪憲章が掲げる「平和」の理念を世界にアピールできる。ただ、五輪は「1都市開催」が原則で、立候補へのハードルは低くない。
両市は11日午後、秋葉忠利広島市長と田上富久長崎市長が出席し、広島市役所で共同記者会見をし、五輪招致委員会設置の詳細について明らかにする予定。日本オリンピック委員会(JOC)幹部によると、「JOC側に記者会見の予定を打診されたのは数日前。まだ、検討の段階と聞いている」という。
五輪憲章は原則として1都市での開催を義務づけており、「共催」での立候補は異例。ただ、国際オリンピック委員会(IOC)理事会の承認を経れば、一部を他都市で開くことは認められている。64年東京五輪では馬術競技を軽井沢で開催した例がある。
JOCは2日のIOC総会で東京都が16年夏季五輪招致に落選した直後ということもあり、20年五輪招致の国内候補都市をどうするかの検討には入っていない。ただ、総会直後に福田富昭JOC副会長が「東京に再挑戦してもらいたい」と明言するなど、東京の再挑戦を願う声は根強い。
近年の夏季五輪は世界的に首都級の大都市が争うのが定着し、都市インフラ、ホテルの客室数、競技会場の後利用、交通網などを考えると、日本の地方都市の立候補は東京に比べると、ハンディを抱える。
20年五輪の開催都市は、13年のIOC総会で決まる。16年五輪招致に東京が失敗した原因の一つに、08年北京五輪から8年後という間隔の短さを挙げる声はIOC委員にも多かった。夏季五輪は12年大会が欧州のロンドン、16年が米大陸のリオデジャネイロ(ブラジル)の開催で、20年はアジアにもチャンスがあるという見方はある。
2009年10月10日
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