http://unitingforpeace.seesaa.net/article/149480697.html
改憲国民投票でも似たような問題があります。投票用紙では原則的に○で「賛成」または「反対」の文字を「囲む」ことになっています。例外的に「×の記号、二重線その他の記号を記載することにより抹消した投票」(第八十一条)も効力が認められています。
衆院法制局に2007年4月9日、投票用紙の「反対」欄の「余白」に×を記載した場合の解釈を聞いたところ、「抹消」すなわち「賛成」とみなす、とのことでした。
国民投票投票用紙:「反対」欄の余白に「×」は「賛成」
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改定案に反対するつもりで「反対」欄の「余白」に×を記載しても、「賛成」とみなされてしまうということです。
改定案に賛成するつもりで ――「賛成」欄を「選択」するつもりではなく――「賛成」欄の「余白」に○を記載した場合は、「投票人の意思が明白」(第八十一条)であるとして「賛成」とみなされるはずで、改憲反対の主権者のような事態は生じません。
同じく衆院法制局に同年4月16日、「賛成」「反対」の上に「レ点」を重ね書きした場合の解釈を聞いたところ、それぞれの文字の「抹消」とみなすか、書き方によっては「無効」とみなす場合もある、とのことでした。
憲法改定国民投票投票用紙:「反対」の上に「レ点」記号の重ね書きは「賛成」または「無効」
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「レ点」は通常、チェックマークとして使われるので、「反対」の文字を選択する意図で「反対」に「レ点」を重ね書きするケースも考えられます。しかしそうした意思表示でも「賛成」とみなされるわけです。
○だけには「賛成」「選択」というすべての意図・意味を認めながら、○以外の記号には「抹消」の意図しか想定せず、投票意思と投票結果に乖離を生じさせるということは、法の下の平等に反し、主権を侵害するものです。
逆の投票方式を考えてみればよく分かるでしょう。○で「選択」して項目に「賛成」の意思表示をする代わりに、×で「抹消」して項目に「反対」の意思表示をする方式です。○に「賛成」の意図を認めないならば、今度は○をそうした意図で利用する改憲派の意思が無効とされてしまいます。1つの記号を主たる投票記号に設定すること自体に無理があり、法の下の平等に反する事態を招くのです。
こうした問題の根本的な原因は、「賛成」または「反対」の文字を記号で選択するという投票方式にあります。旧与党原案や点字投票用(政令案の別記第三様式)のように、1つの空白記載欄に○(賛成)または×(反対)を記載する方式の方がよっぽど公正・正確というものです。
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ラベル:太田光征