絵:井上ヤスミチ
原案・監修:りぼん山本
制作協力:池田香代子、伊藤美好、今村和宏、井上祐子、
ちさと、福間由紀子、室田元美、吉田真紀子、石塚、藤山、
hana, milky、ramu、smile、yodai
http://smile.hippy.jp/ehon/index.htm
あなたは 戦争がどういうものか、知っていますか?
おじいさんやおばあさんから、
むかしのことを聞いたことが
あるかもしれません。
学校の先生が、 戦争の話を
してくれたかもしれません。
話に聞いたことはなくても、
テレビで、戦争している国を見たことなら、
あるでしょう。
わたしたちの国
は、60年ちかくまえに、
「戦争しない」
と決めました。
だからあなたは、戦争のために
なにかをしたことがありません。
でも、国のしくみやきまりをすこしずつ変えていけば、
戦争しないと決めた国も、
戦争できる国になります。
そのあいだには、
たとえば、こんなことがおこります。
わたしたちの国を守るだけだった自衛隊が、
武器を持って よその国にでかけるようになります。
世界の平和を守るため、
戦争でこまっている人びとを助けるため、
と言って。
せめられそうだと思ったら、
先にこっちからせめる、とも言うようになります。
戦争のことは、
ほんの何人かの政府の人たちで決めていい、
というきまりを作ります。
ほかの人には、
「戦争することにしたよ」 と言います。
時間がなければ、 あとで。
政府が、戦争するとか、戦争するかもしれない、と決めると、
テレビやラジオや新聞は、政府が発表したとおりのことを言うようになります。
政府につごうのわるいことは言わない、
というきまりも作ります。
みんなで、ふだんから、戦争のときのための練習をします。
なんかへんだな、 と思っても、
「どうして?」 とは聞けません。
聞けるような感じではありません。
学校では、
いい国民は何をしなければならないか、
をおそわります。
どんな国やどんな人が悪者か、
もおそわります。
町のあちこちに、 カメラがつけられます。
いい国民ではない人を見つけるために。
わたしたちも、 おたがいを見張ります。
いい国民ではない人がまわりにいないか と。
だれかのことを、
いい国民ではない人かも、と思ったら、
おまわりさんに知らせます。
おまわりさんは、
いい国民ではないかもしれない人を
つかまえます。
戦争が起こったり起こりそうなときは、
お店の品物や、 あなたの家や土地を、
軍隊が自由に使える、というきまりを作ります。
いろんな人が軍隊の仕事を手伝う、 というきまりも。
たとえば、
飛行機のパイロット、お医者さん、看護師さん、トラックの運転手さん、ガソリンスタンドの人、建設会社の人などです。
戦争には、お金がたくさんかかります。
そこで政府は、税金をふやしたり、
わたしたちのくらしのために使うはずのお金をへらしたり、
わたしたちからも借りたりして、
お金を集めます。
みかたの国が戦争するときには、
お金をあげたりもします。
わたしたちの国の「憲法」は、
「戦争しない」 と決めています。
「憲法」は、
政府がやるべきことと、やってはいけないことを
わたしたちが決めた、国のおおもとのきまりです。
戦争したい人たちには、つごうのわるいきまりです。
そこで、
「わたしたちの国は、戦争に参加できる」と、
「憲法」 を書きかえます。
さあ、 これで、 わたしたちの国は戦争できる国になりました。
政府が 戦争する と決めたら、
あなたは、国のために命を捨てることができます。
政府が、
「これは国際貢献だ」と言えば、
そのために 命を捨てることができます。
戦争で人を殺すこともできます。
おとうさんやおかあさんや、学校の友だちや先生や、近所の人たちが、
戦争のために死んでも、
悲しむことはありません。
政府はほめてくれます。
国や「国際貢献」のために、
いいことをしたのですから。
人のいのちが世の中で一番たいせつだと、
今までおそわってきたのは
間違いになりました。
一番たいせつなのは、
「国」になったのです。
《おまけ〜「茶色の朝」》
☆フランス寓話が問いかけるもの ファシズム牽制(東京新聞)
http://www.asyura2.com/0401/bd33/msg/752.html
投稿者 のらくろ 日時 2004 年 2 月 14 日
筋書きはこうだ。主人公はごく普通の男性市民。ある日、遊び仲間の友人から飼い犬を安楽死させたと知らされる。理由は、政府が毛が茶色以外の犬や猫はペットにできないという法律を定めたためだ。
その後も日常に小さな変化が起きる。このペット制限を批判した新聞が廃刊され、その系列出版社の本も消えていく。
しかし、「(政府の認めた)『茶色新報』も競馬とスポーツネタはましだから」と、さして不自由のない生活に主人公はまだ、声を上げない。だが、ある日、友人をはじめ、多くの人々が逮捕され始める。過去に茶色以外の動物を飼っていたことを犯罪と見なす法律ができたためだ。「茶色の朝」、主人公にも危険が迫る−。
(略)
現代日本の風俗、事件を分析してきた東京都立大の宮台真司助教授(社会学)も同書について「『なんだか茶色になっていくなあ』という漠たる不安を抱えた日本の現状にうまく照準する部分がある」と論評する。
同助教授は「第二次世界大戦の開戦決定という合理的な判断が必要とされる場面で、日本は引けないまま進んできた」と評す。そのうえで、日本社会を「火にかけられた鍋のお湯の中のカエル」に例える。
「カエルはだんだん熱くなっても飛び出さず、そのまま丸ゆでされてしまうのに似ている。わずかにおかしいと気づいた人がいたとしても声を上げない。カエルは『周りの誰も飛び出さないからまだいい』とそのままゆでられてしまう」
こうなってしまう理由として「(多くの日本人は)周囲に少数派に属する友人がおらず、異質な人間と接触することがほとんどない結果、自分は多数派、あるいは勝ち馬に乗っていられると信じている」と指摘する。
「日本ではメディアも運動家も、分かりやすい言葉で『早く鍋から出ないとまずい』と伝えることができていなかった。この本はそうした人々に問題を分かりやすく伝えている」
茶色の朝 価格:1,050円(税込、送料別) |