筆坂秀世・著。
新潮社(新潮新書)。
価格:¥714(税込)
離党したからこそ、いえることがある
党財政300億円の内実から、
宮本顕治引退の真相まで──
党歴39年、党ナンバー4だった元最高幹部が
赤裸々に明かす「革命政党」の実態!
▼ カバーの折り返し ▼
「鉄の規律」「秘密主義」。現在でも公安警察の監視対象ゆえに、ある種の物々しさが漂う日本共産党だが、その実態とは──。
出来レースで選ばれる党指導部、給与遅配も珍しくない地方組織、度重なる募金で疲弊し離党する一般党員たち。
党歴39年、党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に参院議員辞職、離党した著者が、日々の党運営の仕組みから宮本顕治引退の真相まで、「革命政党」の内情を明らかにする。
▼ 著者について ▼
1948(昭和23)年兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行へ就職。18歳で日本共産党に入党する。25歳で銀行を退職し専従活動家へ。国会議員秘書を経て参議院議員となり、共産党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に議員辞職。2005年7月に離党。
▼ 抜粋 ▼
共産党を見つめ直す
日本共産党は二〇〇五年の総選挙で、「たしかな野党が必要です」というキャッチコピーを掲げた。このコピーに異論はない。ただ衆参ともに九議席というのは、いかにも少なすぎる。これでは「たしかな」力には到底なりえない。一九七〇年代には、共産党が与党として参加する政権を、かすかにではあったが展望しえたときもあった。だがいまでは、国会議員の数は、ピーク時の半分以下にまで減ってしまった。「しんぶん赤旗」の発行部数も同様だ。
日本共産党にすれば、いつでも正しい政策、方針を持ち、正しくたたかってきたはずだ。だが、その正しいはずの共産党がなぜ大きくならないのか、なぜ多数の国民からの支持を獲得することができないのか。よもや共産党の正しさを理解できない国民が愚昧というわけではなかろう。そうではないはずだ。であるなら、どこかに共産党が国民に受け入れられない理由があるはずだ。
日本共産党はいうまでもなく、普通の日本人によってつくられた政党である。特殊な人間の集まりでもなければ、選りすぐられた人間の集まりでももちろんない。したがって、共産党在籍中からの私の持論でもあるのだが、日本人のレベルを超える共産党などありえないのである。ところが実際には、本当の姿、等身大の共産党というのものが、党外はもちろん、党内でさえ意外と知られていないように思う。
共産党のかつての選挙コピーに「澄んだ瞳で見て下さい」というのがあった。私自身の瞳が澄んでいるなどと、おごったことをいうつもりはないが、離党したからこそいえることがある。共産党の実像を紹介しておくことは、共産党の元幹部、参議院議員であった者としての責任であろうと思う。当然、そこには共産党への否定的評価もあるだろうし、肯定的評価もあるだろう。
もちろん、この作業は私自身の責任をも厳しく問うことになる。なぜなら私は、二年余前まで共産党の常任幹部会委員、書記局長代行、政策委員長であり、「ナンバー4」と呼ばれる最高幹部の一人であった。けっして他人事ではないからだ。
(「序章 なぜ私は入党し、離党したのか」より一部抜粋)
▼ 目次 ▼
序 章 なぜ私は入党し、離党したのか
第一章 日本共産党とは如何なる政党か
第二章 革命政党の実像
第三章 見えざる党指導部の実態
第四章 不破議長時代の罪と罰
第五章 日本共産党の無謬性を問う
終 章 立ちはだかる課題