平成十二年十月二十六日(木曜日)
内閣委員会
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000215020001026002.htm○佐藤委員長
長妻昭君。
○長妻委員
時間もないので、手短に今の関連の質問をさせていただきます。
愛人だったと言われている中川さんの女性、その女性に中川さん、あなたが、覚せい剤の捜査が入る、こういうような情報を教えたことというのは御記憶にありますか。
○中川国務大臣
そういう情報が私のところへ入るわけもございませんし、そしてまた委員は、私からすれば、十分裏づけもなく、そういう報道をなさること自身がまことに心外でございますけれども、それを根拠に公のこういう国会の場でお尋ねになるからには、本当にそういう事実関係が、私が当事者ではございませんから、だれか漏えいする人がいなければ私は聞くこともできないわけですから、そういうこともちゃんと裏づけをとってからお尋ねをいただきたい、このように思います。
○長妻委員
非常に強気な御答弁ですけれども、裏づけはきちんととっています。それはおいおいお話をいたします。
あなたとその愛人だったと言われている女性との電話での会話、これがテープにあります。読ませてもらいますと、あなたが「ともかく、なにか、覚醒剤の関係で警察も動いているよ、多少」、女性が「私、でも、やってないです。だから来ても、全然関係ないです、私」、そして中川さん、あなたが「警視庁の保安課が動いているから。覚醒剤の動きが確かにあるよ。本当に……」、女性が「エッ、どう言うことですか」、中川さんが「いや、君の関係を内偵しとるちゅうんだよ」、女性が「そうですか。エッ、それはどこの情報ですか?」、あなたが「それは警察情報だよ」、女性が「それは先生が調べた情報ですか」、中川さん、あなたが「そう、私の方の情報だ」、女性が「私、でも絶対そういうことないですから」、こういうような話が、あなた、されているわけですよ。
本当に決定的な証拠がこれだけ出ていながら、全くしらを切る。それは国民の皆さんが、これだけその疑惑が続いて、ずっと続いている。本当は、みずから中川さん本人が疑惑を晴らす説得力のある御説明をする、これが疑惑を打ち切る本当の最善のことなんですよ。我々にこういう疑惑を解明する仕事をさせないでください。あなたみずから疑惑を解明して、正直にお話しください。
今のような会話の事実はありますか。
○中川国務大臣
それは仙谷委員にも、また長妻委員にも、こんなことでこの国会の場でお尋ねいただくということ自身、私自身本当に大変に遺憾でありますし、国民の皆さんにも本当に遺憾であると思っておるわけです。
しかし、今お尋ねの点は、それはどういうテープなんですか。確かに私は、写真週刊誌でそういうやりとりがあるというのは読ませていただきました。私自身はそういう会話をした覚えはございません。記憶もございません。そしてまた、そのような情報を得てそういうことを伝えるなどという、そんなルートもなければ、そういうこともございません。
もしそういうものが、どういうテープなのか。そしてまた、別段私は、そういうものは工作されているとか加工されているとか、そう決めつける根拠も何もございませんけれども、どういうものであるのか。そういうこともきちんとお示しをいただかないと、委員御自身がそれではどうやってそのテープを御入手なさったのか。そして、相手のおっしゃることが全部真実であるのか。
そういうこともきちっとおっしゃっていただかないと、実は正直言いまして、私自身の名誉にかかわることでもあるし、家族の名誉にかかわることでもございますから、こういう席で申し上げることではないのですが、最近号の出たことについても、正直言いまして全く心外でございまして、それについて私自身も調査をいたしました。
その結果、詳しくは申し上げませんけれども、私どもの留守中、かつて、その当時でございますけれども、私どもの運転手をしていた者がその女性と接触を、接触というかアプローチを受けまして、何回か会ったあげく、頼まれて、留守中に私どもの自宅を案内した、こういう事実が判明してまいりました。
それが、あたかも私が連れて帰って、そしてまた、そういうところで写真を撮っておるというようなことまで書かれておるわけであります。その者は、本当に申しわけないと言って、このメモを書いてきてくれておりますけれども、そういうことがお尋ねがあるならばきちんと事実関係も説明すると申しております。
一事が万事そういうことでございまして、そういうことも含めてお尋ねいただかないと、これは、私事にわたることではございますけれども、私自身、本当に心外だし、こういう席でお尋ねになるからにはきちんと裏づけもとり、そして報道も裏づけをとってちゃんとやっていただきたい、このように思います。
○長妻委員
何でこれだけ疑惑が晴れないのか。テープのお話がありました。このテープは九五年にとられたテープで、私は聞いているんですよ、テープを。この部分は、あなたとその愛人と言われている女性の会話、三日間会話はとられていますよ。その一日分、三十分間のテープ。確かに、どう考えてもあなたの声なんですよ、言い回しも含めて。ため息を何度もつかれております。さぞ大変だったんでしょう。これを私聞いておりまして、それで質問をこういうふうにしているわけです。
九五年というと、あなたが首相補佐でいらっしゃったときだと思いますけれども、ある意味では権力で警察情報を得て、それをその捜査対象となっている人に漏らす。事実、その後、警察も動いているわけですよ。こういうような事実がある。あなたの水割りのグラスの氷の音も聞こえて、水割りを飲みながらお話しされているんですよ、その女性と。これでもまだしらを切られるんですか。
中川官房長官、山下官房長官が十年ぐらい前に愛人問題でやめられた。事実関係をきっちりお認めになって、潔く、これ以上政務に支障があってはいけないということでやめた。ところが、何ですか。これだけ事実、証拠が出て、何でこれだけ国民の皆さんが疑惑、疑惑、ずっとおさまらないじゃないですか。それは、あなたの発言がうそだと皆さん思っているからですよ。
ですから、説得力のあるような御説明を願います。何でこういうテープがあるんですか。
○中川国務大臣
何度も申し上げますけれども、あなたはそのテープをお聞きになったとおっしゃいますけれども、どこから入手されたテープなんでしょうか。そしてまた、それが私の声である、似ている、こうおっしゃいますけれども、その背景は何なんでしょうか。どうしてそんなテープがあるんでしょうか。また、私は、どこにいたか知りませんけれども、水割りなんかカタカタやって、そんなことなんてありません。家で水割りなんか飲んだこともありません。
それから、さっきからもお話ししておりますとおり、どんな立場にあったって、そんな警察情報なんか入るものではありません。あるというならば、そういう根拠をお示しいただかなければなりません。
それからまた、先ほどから、そのテープはどなたがおとりになったか知りません。仮にそのテープが一方の方がおとりになったというのであるならば、ちゃんとそうおっしゃっていただきたいと思う。そして、あなたはどういうルートでそれを手に入れられたかもおっしゃっていただきたいと思います。そして、本当にそれが全く加工もない、つなぎもない、そういうテープであるのかどうかもちゃんとお調べいただきたい、このように思います。
そしてまた、相手のおっしゃることが何でも真実だというのは、先ほど、今週号の写真週刊誌に出たことについて、私が若干の事実関係を、こういう席で申し上げることではございませんが、申し上げましたが、本当に、事務所の者まで利用して、自宅を見て写真を撮っていかれる、そういうような事実まであるわけでございまして、そういうことも全部事実だ、こうおっしゃるのは、私はいささか、こういう公の場で言うのには、裏づけもちゃんととって言っていただきたいということに当たるのではないかと存じます。
○長妻委員
実際、中川さんと思われる人とこの女性と会話があったその二、三日後に……(発言する者あり)事実だよ。その二、三日後に、この電話の相手の女性に、警察の方が、家宅捜査が入った。捜査令状を持ってこの女性の自宅に家宅捜査が入った。私ども確認しております。この電話の録音された数日後にそういうことがあったというふうに女性も言われているわけです。(発言する者あり)私は、今週刊誌の話は全然していません。自分で聞いて、我々が確かめて質問しているわけです。週刊誌の話は言っていない。
こういう事実があるわけですよ。余りに偶然、あなたがその女性と話して、その二、三日の後に捜査令状を持って家宅捜査に入っている、こういうようなことがあるわけでありますから。
委員長、いずれにしても、このテープをこの委員会に出せるようにお取り計らいをいただきたい。委員長にお願いします。
そして、実際、いずれこのテープが出ると思いますけれども、中川さんが、御自身が聞かれて、もしあなたの声だということが証明された場合、科学的に証明された場合、そのときはどういう対応をされますか。
○佐藤委員長
今テープの件は、理事会で協議をさせていただきます。
官房長官。
○中川国務大臣
たくさんたくさんお尋ねでございますから、一々全部はお答えできないかもしれませんが、そういうような捜査が行われたなどということも私は存じません。また、そういうことは警察当局にお聞きをいただくしか私は確認のしようがございませんし、お聞きいただいたらいいんだろうと思いますけれども、私は、そういう会話をした記憶、覚え、それは委員だって六年前、七年前の会話なんか全部覚えておられましょうか。そういう記憶は私にはございません。
それから、そういうテープが、どこから入手をされて、委員はそのテープをおとりになった方からこういうテープであると御確認の上のお尋ねなのか、今のお尋ねでははっきりいたしませんけれども、私自身には、捜査情報を漏らすとか、またそんな情報も入りもしませんし、そのような事実関係が、日時の関係がどうなのか、そんなことも私にはわかりません。
いずれにしても、全く不可解であり、心外でございます。
○長妻委員
政治倫理綱領というのが、私どもが持っている、皆さんも持っている手帳に書いてあるんですよ。これは、昭和六十年六月二十五日議決された政治倫理綱領。この中に、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と書いてあるわけです。
ですから、疑惑の解明がまだ今の時点でなされていないというふうに世間は考えて、これだけきょうもマスコミの皆さんも集まって、世間が騒いでいるわけです。官房長官という要職にあられるわけですから。ただ否定をされているだけなんですよ。否定をされているだけじゃなくて、じゃ、例えばいろいろな、内容証明の問題でも、こうこうこういう事実があるからそれは違うんだ、あるいはその写真の問題も、こうこうこういうところで実は会合に出たけれども事実と違うんだとか、官房長官みずからその疑惑の解明に努められる努力を本当にされているのか。そして、その結果をきちんと国民の皆さんの前に公表する。だから、我々も、官房長官という職、この権威が今傷ついているわけですから、それを回復したいと願っているわけです。
○中川国務大臣
倫理綱領をお出しいただいて、みずから立証しろ、解明しろ、こういう御主張でございますけれども、委員もおわかりかもしれませんが、十分な裏づけをとって報道された、そういうことでないと私は思います。そういうものについて、ないことを証明するということはなかなか容易なことではございません。第三者の本当にそれを証言する人がいるとか、そうでない限り、なかなか難しいことでございます。
ただし、私自身も調査することはいろいろ調査しております。正直言って、最初に出ました滑川という人の会食の写真についてもいろいろ調べてみました。当時の担当秘書、正直言って、物故して、いないわけでありますけれども、その当時のお世話人、それも物故して、いらっしゃらない。何せ古いことでございますから、そういうことまでいろいろ調べながら、この集まりなのか、あの集まりなのか、それなりに調べてみました。
しかし、十七、八年前、あるいはもう少し、十五、六年前かもしれませんが、いろいろな会合について問い合わせもいたしましたけれども、どの会合であるかとか、あるいはだれが呼んでおられるのかとか、そういう事実関係が明らかでございません。明確にできないわけでございます。したがって、そのことは私なりにそういう努力もしているけれども、私自身、記憶をたどっても、記憶がございません、こう申し上げるしかなかったわけでございます。
そして、あたかも私が法に触れたことをしているように報じられておりますけれども、いろいろ、私なりのきちんとしたお答えをこの場でも、あるいはさまざまな委員会の場でも、記者会見でも、それは事実無根であると正式の場で私は申し上げておるわけであって、一方で、その一方のことだけが全部真実であって、おまえが言うのはそれは認めないから真実でない、それはおかしいと私は思いますし、私自身の名誉にかかわることでもございますので、専門家とも協議をしておりますし、いずれ何らかの措置をとらせていただきます。
○長妻委員
これだけ次から次へと真実がどんどん出てきて、それで調査して努力している、疑惑解明に中川さん自身も努力されていると今答弁されていますけれども、その努力された結果が全然出てこないじゃないですか。ただ違う、違う、天地神明に誓って事実無根。それであれば、いろいろ今疑惑が出ているそれぞれについて、もっと、これはこういうことでこうだとか、具体的な説明が全くない。
そして、それをまず押さえておいて、若干角度を変えましょう。
先ほど、何か運転手が云々というお話がありましたけれども、これは昨日発売されたフォーカスという写真週刊誌に、御自宅で撮られた、そこに女性が写っている、フォトは中川秀直、こういう記事が出ましたけれども、あの写真はどういう状況で撮られたのか、よく考えて御答弁いただきたいと思います。
○中川国務大臣
あなたは、これだけ疑惑が出ているのに、真実が出ているのに私がうそをついて逃げている、こうお決めですが、どれが真実なんでありましょうか。裏づけをちゃんととって、一方のことだけで、私が何か覚せい剤をやったとか、あるいはそういう捜査情報を漏らしたとか、一方的にお決めつけでございますけれども……(発言する者あり)だから、いずれ措置をとるとちゃんと申し上げておるわけであります。
そして今、最後のお尋ねでございますけれども、本当は国会は私生活についてお答えすべき場ではないのでコメントを差し控えたいのでございますが、昨日のことでございますけれども、当時運転手をしていた者が、平成七年の初秋ごろだったと思うけれども、時間は夕方過ぎに事務所へ訪問され、少し話をしましたところ、その前にも空港へ私を出迎えたときに声をかけられてお会いしているようでございますが、相手の方が、自宅を見たい、こういうことで何も考えずに案内しました、軽率きわまることをして今大変申しわけなく思っておる、今になってこのような大事を起こし、自分の女性に対する甘さを痛感しているという、いろいろなおわびということを送ってまいりました。
いずれにしても、それにしたって、あれはフォトが中川秀直だとか、あるいは私が連れて帰って泊めて写真を撮ったとか、もう書かれておるわけですよ。それも真実ですか、あなたのおっしゃる。やはり、そういうこともきちんと……(発言する者あり)写真のことも含めて私は申し上げておりますよ。私どもが夫婦そろって留守にしていることだってしばしばあるわけでございます。そういうときに、私の事務所というか家は、事務所と前と一緒になっておりまして、二十四時間事務所の者がおるような態勢でございますから、そんな、私が連れて帰るなんということはあり得ないことですし……
(発言する者あり)
写真をだれが撮ったかということは、この本人も、すべて覚えていないんで許してください、こう書いてありますけれども、そこはわかりません。わかりませんが、いずれにしても、私が撮った写真だなどという、フォト中川秀直などという、そんなキャプションまでつけてやるということは全く心外でございますし、それから、あなたがだれなんですかと言うんだったら、その方にお聞きになったらいいではありませんか。
○長妻委員
まあ、不可解な話であります。運転手がその女性に、見ず知らずの女性にせがまれて、中川さんの御自宅を見たい、では、運転手が軽率だったけれども連れていった、そして部屋の中まで案内して寝室に案内した、しかし、写真はだれが撮ったのかはわからない。ということは、その運転手さんは、そこまでしゃべっているんですから、写真は自分は撮っていないと言っているんでしょう。ではだれが撮ったのかわからない。
だから、常識で考えて、私も意地悪な質問をしているわけじゃないんですよ、常識で考えておかしいから、国民の皆さんもおかしい、おかしい、こういうことを言っているわけですよ。疑惑のデパートとかそういうことを言われているわけです。
いずれにしても、時間も残り少なくなりましたので、このテープ、実際私が聞いておりますから、いずれ中川さんも聞くことになると思いますけれども、そのときに今のここでの御答弁をお忘れなく、出処進退を明らかにしていただきたいということを強く求めます。
そして、先ほどもお話し申し上げました、山下官房長官が十年前に官房長官をやめられた、この決断については何か御感想をお持ちでしょうか。
○中川国務大臣
そのときの状況は私はつまびらかにしておりませんが、山下先生は山下先生なりの御判断であったんだろうと存じます。
私は、官房長官になったのはことしの七月でございまして、それをさかのぼること七年前の私事が、なった途端にこうやってわっと出て、しかもその真実が、本当にあたかも真実のように、そういうふうにいろいろ書き連ねられている、まことに心外でございます。そしてまた、正直申しまして、そのうちの本当にたくさんのことが真実ではございません。私は、法に触れるようなことは一切いたしておりません。そういう中で、多くの人たちと今一生懸命、日本さえよくなればいいという思いで懸命になって頑張っているところでございます。
以上です。
○長妻委員
法に触れることを一切していない、法に触れなきゃ何でもいいということじゃないわけで、いずれにしても、この疑惑は今の御答弁でも私ども全く納得できませんし、これは国民の皆さんが広くごらんになられているわけですから、国民の皆様も納得できない。官房長官がうそをついている、こういう目で見られている状態は依然と続いて、日本の政治は非常に暗たんたる状況からいまだ抜け出ていないということを申し添えて、このテープの問題あるいは御自宅で撮られた写真の問題、いずれにしても、長官が天地神明に誓って、そして事実無根というふうに言われているわけですから、それが仮にうそであれば、ここまで言われているわけですから、それなりの責任をおとりいただくということを確認いたしまして、私の質問を終わります。